From..
「えっ…えっと…ゆ…百合菜?」

「謝るのは私の方だよ……し…翔君ごめん」

心の中のわだかまりがスッと溶けていったような気がした。

「じゃ…あ…俺達前みたいに戻れるかな…?」

「遅すぎたよ、翔君……」

「え……?」

百合菜の言っている意味が分からない。

雅也も渡も、ましてや
親友の静香や美紀でさえポカンとしている。

「俺達さっきから付き合うことになったから」

俺は声のした方を見た。
あいつは…。

「如月 令志…」

隣のクラスの頭脳明晰・運動神経抜群・イケメンでまさに非の打ち所がない男だ。

「う…嘘だろ…?」

俺は突き付けられた真実を受け入れられなかった。

百合菜も目を俯かせてポツリと呟いた。

「ホントだよ。令志君と私は…付き合ってるの」

俺は体全体に強い衝撃を受けた。ショックだけではない。令志に殴られて吹っ飛ばされたのだ。

「てめぇ!」

渡と雅也は敵意を剥き出しにして令志を睨み付ける。

「二度と百合菜に近づくな。次は容赦しない」

俺は自分の非力さを歎いた。

全ては…百合菜と俺…お互いの嫉妬がまねいた 残酷な結果だった。

もっと早く気持ちを告げていれば良かった。だけど、時間は戻ってこない。

俺と百合菜の歯車は、ついに完全に止まってしまった。
< 100 / 387 >

この作品をシェア

pagetop