From..
シーンと静まる教室。誰も一言も発しない。

「ぜってー勝つから」

その俺の言葉にクラスは時間を取り戻したように一斉に笑い始める。

「令志に勝てると思ってるのかよー!」

「止めた方がいいよ…恥かくだけだから!」

クラスメイトの反応で、俺は自分の言ったことの無謀さを知った。

俺は何を言っているんだか…。

俺は恥ずかしさで顔が真っ赤になっていった。

「私は別にいいけど。翔がアンカーでも」

笑い声の合間を縫うようにして、凛とした声が響き渡った。

皆が声の主を探した。

「静香……?」

そう。声をあげたのは静香だった。

「そこまで言うんならやらせてみたら?」

「俺も賛成だな。翔は口からでまかせ言わないしな」

「渡…」

すると雅也はニヤリと笑い黒板に文字を書いていった。

アンカー 若葉 翔
(全責任は私が持ちます。負けた場合は打ち上げ代全額を支払うことと一年間パシリになることを宣言します)

「おい何書いてんだよ!!雅也!」

その文字を見たクラスメイトは拍手喝采だった

「いいぞー!」
「頼んだぜ翔!」

何はともあれ俺は今度の体育祭のリレーのアンカーに決定した。
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