From..
図書室からの帰り道。俺は雅也と二人で下校していた。

え?渡?渡は美紀と帰ったよ。べつに、羨ましくなんてないから……な。

「しっかし…今日は驚いたな。普通少年の若葉 翔が天才如月 令志に挑むとは……」

「あいつには負けたくないからな!」

意気込む俺を尻目に雅也は冷ややかに言った。

「あいつの50Mタイム走6秒0だぞ」

「何で知ってんだよ?」

「お前が桜花ちゃんとイチャイチャしてた時に俺はC組女子からきちんと情報収集してたんだよ」

雅也は俺を呆れたように見てくる。その視線に、俺が悪い訳ではないのに罪悪感が込み上げて来た。

「で、翔。お前は?」

「7秒8……」

「絶望的だなこりゃ」

雅也はため息をつく。

「俺は二週間で生まれ変わる!!見てろよ!」

「口にだすのは自由だ」

その言葉に俺はカチンと来た。俺は絶対、生まれ変わってやる!!

俺は心の中で静かな闘志を燃やしていた。
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