From..
撮影は思いのほか、順調に進んでいった。これは撮影前に雅也が言った言葉が関係しているだろう。

「順調に撮影が進めば昼からは遊んでいい」

しかも俺らは素人なので雅也も、おじいちゃんもそこまでの演技を求めなかった。次々とOKが出ている。

今回撮るシーンの予定はこうなっている。

一日目
朝 海で遊ぶシーン
夜 ヒロインと恋敵の会話
二日目
朝 主人公と恋敵の本気の  ケンカ
夜 主人公の告白

三日目
朝 ヒロインの返事
昼 帰宅。

基本的に、昼の時間が空いてるのは雅也の配慮だろう。何だかんだで雅也も遊びたいのかも知れない。

「そっちは撮影どう?」

ふと顔をあげるとそこには水着姿の紫音がいた。目のやり場に困る…。

「えっ…まぁ順調かな?逆にいい夏の思い出が作れそうだよ」

「うん。ねぇ翔。今日の夜空けといてね?」

「へ…?」

「やらしいこと考えてるんだったら違うからね?残念でしたぁ」

そう言ってチロッと舌を出して笑う紫音。俺はただ曖昧に笑うしか出来なかった。

やらしいことなんて、これっぽっちしか……考えてないからなっ!
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