From..
「……じゃあ行くね?」

俺の初恋の相手は腕の中から出て俺に言った。

「ああ」

俺は名残惜し気に百合菜を見送った。別荘に向かって歩み続ける百合菜。

「…ずっと好きだった」

俺はポツリと漏らした。

上を見上げるとそこにはいつもとは一味違う風景が広がる。

「……星ってこんなに近かったっけ…?」

俺は砂浜に横になった。ひんやりとした感触がやけに気持ちいい。

「ずっと…ずっと…好きだったんだ…」

俺の涙は遮ることが無くなったかのように流れ続ける。その涙を見てるのは空の星だけだった。

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