From..
「いやーめでたいめでたい。こんな絶好の場を作ってやった俺と渡に感謝しろよ?」

「余計なお世話なんだよ」

その日の帰り道、俺は雅也と渡に文句を言いまくっていた。何だか、掌の上で躍らされてるような気がしてならない。

「じゃあ何だ?チキンな翔は百合菜ちゃんをデートに誘えたか?」

「それは……無理だな」

「だろ?いやー良く俺もあの三人相手に戦ったよ」

すっかり天狗になってる渡。しかし確かに渡の言う通り、美紀と百合菜ちゃんをデートに誘ったのは、もはや俺らのクラスの男子からは“偉業”と讃えられている。

「でも、雅也。お前はいいのかよ?」

「ああ、俺は色々とやぼ用があんだよ。お前はお前で頑張って来い!」

正直、俺は不安だった。女子二人はトップクラスのルックスだし、渡はこんな性格ながらも顔は自他共に認めるイケメンだ。

「大丈夫だよ。百合菜は顔で判断するような奴じゃないからよ」

「…そうかなぁ?ていうかお前、何で俺の心の中が読めた!?」

「あほ、顔にでっかく不安って書いてあるんだよ」

さすが、幼なじみ。俺の考えていることなんかお見通しのようだ。

「あー早く日曜日にならないかなぁ?」

楽しみにしてる渡には悪いが、俺は早く日曜日が終わらないかなぁと思っていた。
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