From..
「おはようございます!昨日は本当にすいませんでした!」

実行委員が使用している部屋に入った俺は開口一番謝った。

皆の顔はやつれてしまっている。

「……倒れたなら仕方ないよ。気にするな」

口ではそう言ってくれるものの、皆から殺気を感じるのは果たして気のせいだろうか?

気のせいであってほしいものだ。

それから俺は病み上がりにも関わらず、たくさん働いた。しかし殺人的な忙しさも昼までだった。

おそらく どのクラスも完成したのだろう。

ホッとした空気が部屋中に漂う。

その瞬間、ドアがガラリと開いた。

「プチ打ち上げしましょう!!」

そう言って登場した桜花の右手には大量のジュースが入ったビニール袋があり、一緒に登場した令志も袋いっぱいのお菓子を抱えている。

みんなは自然と穏やかな表情になり、思い思いにジュースを注いだ。

委員長が言った。

「それじゃ一足早いけど乾杯!!」

「乾杯っ!!」

委員長の掛け声に皆が呼応する。

美味い…。いつも飲み慣れているジュースとは思えない。

やはり、働いた後の一杯は美味いのかな。

雑談にも花が咲く。久しぶりに和やかな空気に触れた気がする。

しかし和やかな空気もそこまでだった。

「ホラ翔。財布借りたぜ」

そう言って令志は俺に財布を投げ渡した。何故だかとても嫌な予感がする。

「何で令志が俺の財布持ってんだよ?」

「あ?ジュースやらお菓子を買うのに使ったからに決まってんだろ」

やはり嫌な予感は的中する運命にあるようだ。財布はすっかり軽くなってしまった。

「何で俺の金を使うんだよ……!」

「さぁ何でかね…?」

今度は確実に皆の冷たい殺気を感じた。

間違いない、絶対昨日のことを根に持っている。俺は確信した。

「あの……皆さんやっぱり怒ってます?」

俺は恐る恐る尋ねる。

「怒ってないよ!」

皆は笑顔で答えるが目は笑ってなかった。
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