From..
「おーい!」

後ろを振り向くとそこには雅也達の姿があった。

「あれ?喫茶店の方はいいのかよ?」

「まぁ店じまいだな。メインの食材が尽きちまったから」

雅也は残念そうに言う。

「まあ時間も時間だし。今16時だから…後一時間しかないけど一緒に回ろうよ」

静香の言葉に異を唱えるものはいなかった。俺らは大人数だったこともあり、少ししか回れなかったけど、最高に楽しかった。

隣のクラスの令志。
一年生の桜花。
学校が違う紫音。

それを感じさせないような繋がりが俺達にはある
今の俺は…それだけで幸せだった。

それなのに……。

「みんな!!」

紫音が突然大きな声で叫んだ。俺らは足を止め、紫音の方を向く。

「今日は……ありがと!!また、遊ぼうね……?」

そういう紫音は笑いながら涙を流していた。

「おい、紫音……?」

「また…会えるよね?」

「大丈夫じゃ……必ず皆でまた会える」

「また……ね………?」

最後の言葉は聞き取れなかった。

紫音が突然、倒れ込んだからだ…。

「紫音…?おい!!紫音!!」

俺は必死に紫音を揺さぶるが紫音は一向に意識を取り戻さない。

「早苗さんに電話しときました。今から紫音を皆で運びましょう」

雅也が冷静な指示を出す。

「おい…雅也?何でそんな冷静でいれるんだよ!紫音が倒れたんだぞ!」

俺は雅也に詰め寄る。

「皆も…!何でそんなに………冷静で…」

「翔、落ち着いて聞け。紫音から絶対に口止めされてたんだけどな…」
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