From..
あれは中学の卒業式の日だった。

俺と雅也は同じ佐久良高校へと進学することになっていたが、紫音は私立の女子高へ進学することになったのだ。

「私達、いつも三人だったから、いざ離ればなれになると寂しいね?」

「お前が、そんなこという性格かよ?」

「雅也ー!!」

こんな二人のやりとりを見るのも今日で最後。そう思うと、胸の奥が少し痛む。

「……まぁ紫音と俺は、お隣りさんだから、会おうと思えば会えるよな」

俺は、つい思っていたことを口に出してしまっていた。

「翔は素直だね?やっぱりこんな可愛い子とは毎日会いたいよね?」

ニコッと笑う紫音と、隣で屍に成り果てた雅也を見て、俺はガクガクと首を縦に振る。

まるで、人形劇の人形のようだった。

あの時から俺と雅也はお前に逆らえなかったな。
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