From..
12月23日。今日は雅也と待ち合わせをして病院へと向かうことにした。

だが、紫音は俺達の訪問に気付く事なく眠り続けていた。

「なぁ翔。こいつ元気な頃と全く変わらない寝顔だよな……」

「あぁ……そうだな」

紫音は、すやすやと寝息を立てている。俺は紫音の前髪を少し払う。その仕種に雅也は驚いたようだった。

「し…翔。寝込みを襲うのは悪いと思うぞ…。しかもお前には百合菜というフィアンセが……」

「ばっ…ちげーよ!!少しでも紫音の顔を眺めていたいだろ…」

「……こいつ。綺麗になったよな。馬鹿やってた頃より…全然」

雅也は紫音を優しく見つめながら呟く。

「ホントにな。何か一番こいつが変わったよな!」

「確かに…!」

俺らは紫音を起こさないように、小さく笑った。

「なーに二人で笑ってるんですかぁ?」

振り向くと、そこには桜花がいた。

桜花だけじゃない。そこには俺達の“仲間”がいた。

「ちょっと昔を思い出してたんだよ」

「聞きたいですっ!」

美紀が興味津々の目で俺達三人を見てくる。

「ちょっとだけだぞ?」

雅也と俺は順番に、昔の思い出を語った。皆も笑いながら聞いてくれた。

あの頃に戻りたい…。
紫音が元気な頃に…。
俺は不意にそう思ってしまった。

願ってはいけないこと。
ただ…願いたいこと。

なぁ…。神様。
何で紫音なんだよ?

俺は皆に悟られないように、目を擦った。
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