From..
「後…もう一つだけいいか…?紫音…」

「……なに?」

「何で俺に言ってくれなかった…?余命が…少ないっていうことに…」

その俺の質問に、紫音は力無く微笑みながら答えてくれた。

「…翔には…等身大で…接してほしかった…からかな……。余計な……気を使わせたく…なかったんだよ…」

「紫音っ……」

俺の目から、こらえていた涙が一筋流れ落ちた。

「ごめんね……辛い思い……させちゃった……よね……?」

「紫音……」

「だけどね……ホントに、楽しかっ……た。制服デートも……体育祭も……映画も……文化祭も……凄く、楽しかった……ありがと……う」

「馬鹿、礼をいうのはこっちだよ!紫音、ありが……と…」

俺は、泣いた。
紫音を失うこと。
その意味がようやく分かったんだ。

もう……会えなくなるんだ。

だから、悲しいんだ…。
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