From..
入学してから二ヶ月がたった頃に席替えがあった。

クラスに友達がいない俺にはどうでもいいイベントだった。

クラスは歓喜の渦に包まれていたが俺は一人静かにくじを引き、さっさと机の移動を済ませた。

机を引きずる音が止んで来た。それは席替えの終了を意味していた。

俺の隣にも机が運ばれて来た。……女だ。

「如月君。隣同士よろしくね?」

俺はチラッとその女を確認した。長い髪、大きな瞳。整った顔…。

世間一般では『可愛い』と分類される女だろう。

俺には全く関係ないこと
俺は女の挨拶も無視して吹き抜ける空を見ていた。

……こいつもどーせ俺に付き纏ってくる女だろ。

俺は隣のそいつをそんな目でしか見てやれなかった。
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