From..
「私達は双子だから…全部一緒にされちゃうの」

奈美がゆっくりと話始めた。

「確かに私は真美のことが好き……」

「私も奈美のこと好き」

真美と奈美はお互いに目を合わせる。

「だけど…私は私なんだよ……」

二人の声が綺麗に重なったとき、奈美と真美の目からは涙が零れていた。

「奈美…真美…」

「私のことを…奈美じゃなくて…双子の姉の方って呼んだり……。誰も私を奈美って…見てくれなかった……」

奈美は話すのが辛そうだった。

そんな奈美を見て真美が言葉をつなげる。

「私も…奈美と全く同じ気持ちだった。だけどね……。友紀は違ったの。私を私で見てくれた…」

「友紀が…?」

「うん。『奈美?今日は買い物いこっ?』とか、『真美ー今度の土曜日遊ぼうよー』とか…。そんな些細なことだったけど私達にとっては大きな大きな言葉だったの」

奈美は涙ながらに話す。

「…あいつらしいな」

「うん…。私達はね?涼や令志にも感謝してるんだよ。その時…私にはこんなにいい友達がいるって分かった…。その時に頬を涙が伝ったの」

「その時に奈美や私は知ったの…。悲しい時以外にも涙は流れるんだ…ってこと…」

俺はそんな奈美や真美を見て思った。

『俺はただ聞いてやることしか出来ない。何一つ力になれていない』

……優しいだけじゃ何も出来ない。

その時、俺の頭を横切った考えだ。
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