From..
俺は呆然と泣き出した友紀を見ていたが、俺は気を取り直して友紀にハンカチを差し出した。

「ありがと令志。ごめんね…?突然泣き出したりして……」

「気にすんなって…」

「あのね…私には妹がいたんだよ…。名前は…友香…。私が中学入学と同時に…命を落としたの」

「え…?」

友紀の妹が命を落としただって…?

しかも中学入学と同時ってことは…ほんの一年前の事じゃねぇかよ……。

「妹は…小学四年で…明るくて優しい子だった。私があの時…コンビニに行こうって……言わなければ、自動車に……はねられることも……」

「友紀…無理すんな」

辛いことは無理に話さなくていい。

そう言おうとして言葉を飲み込んだ。自分でも何故だかは分からない。

「……私のせいで…友香は命を…」

「友紀のせいじゃない…それは事故だったんだ」

「でも…私が連れ出さなければ友香は…!」

パチン。

弱くだが…俺は友紀の頬を叩いた。

友紀は呆然と俺に叩かれた場所をさする。

「…友香ちゃんはきっと友紀のこと恨んでない」

「何でそんなことが令志なんかに…」

「分かるんだよ!今辛いのは友香ちゃんだってことに……自分のせいでお姉ちゃんが苦しんでいるってことで…辛い思いしてるんだよ!!」

「…れ…いじ」

「そんな友紀姉の姿見てたら、きっと友香ちゃんも安心できないよ」

友紀はただただ涙を流していたが…心なしか笑っているように見えた。

それは…出会った時のような、優しくて柔らかい顔だった。
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