From..
「え…?」

開いた口が塞がらないとはこのことを言うのだろうか?

友紀が転校する…?
今は11月。冬はもう間近に迫っている。

「…どういうことだよ」

「親の都合で…遠くに引っ越すことになったの。だから…最後に令志と話せて…友香と向き合えてホントに良かった」

「友紀…」

「もう令志には支えてくれる仲間がたくさんいるからね。私も安心してここから旅立てるよ…」

友紀はスッと席を立つ。
どこか吹っ切れた顔をしていた。

「涼は知ってるのか?」

「これから言うつもり。何て言われるか分からないけどね」

「…転校してもずっと俺達は友達だよな」

俺がそう言うと友紀はクスリと笑った。

「令志…。姉弟の間違いでしょ?」

俺達は喫茶店の中で客に見られてるに関わらず、抱き合った。

恥ずかしいなんて気持ちは微塵もなかった。

ただ、友紀と一緒にいられる時間…一秒一秒が惜しかったのだ。
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