From..
粉雪散る12月。友紀は俺達に見送られて、遠い場所へ旅立った。

友紀は誰にも行き先を告げることをしなかった。

「ホントあいつ、勝手だよな……」

友紀が乗った電車を見送りながら涼が呟く。

「妹のことでウジウジ悩んでるなんて…私達分かんなかった」

奈美は上を向いて必死に涙を隠していた。

「少しくらい…私達に…相談してくれたっていいじゃない。小学校からの付き合い何だし…」

真美は一目を気にせずわんわん泣いた。

「あいつなりの優しさじゃないのか?俺らに余計な心配かけたくなかったんだよ」

俺は自分で言いながらも不思議に思った。

『何で俺には…打ち明けてくれたんだろうか』

俺がお姉ちゃんと言ったからだろうか?

「そんな優しさなんていらなかった…。もっと…話してほしかった」

涼の目も潤んで来た。

「偽りの優しさ…か」

俺はぽつり呟き、一人ホームを後にした。

空はまるで俺らの気持ちを写し出してるか如くどんよりしていた。

優しさって何だ?誰か俺に教えてくれよ……。
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