From..
ようやく真美と涼の機嫌が直り始めた。

「俺達四人は…これから別々の道を歩むことになったけど…」

俺は右手を前に出しながら言った。

「俺は本当の優しさを探るために…」

「俺は0からのスタートを切るために…」

涼はそう言って右手を俺の上に重ねる。

「私は自分自身を変えるために…」

奈美も続いて手を重ねる。

「私は私を理解してもらうために…」

真美が最後に手を重ねる。

すると不思議なことが起こった。

四人の重ねた手に、さらにもう一人が手を重ねる感触がしたのだ。

俺達四人は驚いて顔を見合わせる。だが、すぐに『五人目』の正体を察知した俺達は声を合わせて言う。

「頑張るぞ!!」

俺達“五人”は、自分達の新しいスタートを切った。

俺達は……離れているようで繋がっているのかもな……。
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