From..
それから一週間後、B組から浅香 百合菜という女の子が俺に教科書を届けに来てくれた。

俺はその子に心を奪われてしまった。

その子のことを目で追ったり、廊下ですれ違ったら挨拶を交わしたり……。そんな些細なことを幸せと感じた。

友紀に抱いた気持ちとは似て非なるもの。

これが『恋』なのか。
俺は高校一年生にして初めて恋をした。

俺は友紀の時とは違い、彼女に積極的にアプローチをかけた。

クラスの男子はそんな俺を冷やかしていたが、それがまた新鮮な気持ちだった。

恋をすると毎日が楽しくなる。

この言葉に嘘偽りはないと思うほどだった。

しかし、その幸せはもろくも崩れていくことになった。
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