From..
紫音と渡は早くも打ち解けていた。

「何だよ翔。こんなに可愛い幼なじみがいるなら紹介してくれれば良かったのに……」

「お前今日何でここに来たのか分かってるよな」

「あ…そうだった…」

そう言って頭をポリポリかく渡を見て俺は思わずため息をついた。

「で…話をまとめると渡は美紀って子のことを好きって訳ね」

ちゃっかり紫音まで話に加わっているのには驚いた。

「紫音…俺どうすればいいかな?」

「どうするって…。答えは二択しかないのよ?『告白するか、しないか』だよ」

紫音はそう言いつつ、渡に指を突き付ける。

「ここから一歩踏み出すか踏み出さないかで二人の関係は大きく変わるのよ」

「じゃあ紫音は俺に告白しろって言うのか?」

紫音は渡の言葉に首を横に動かした。

「違うよ。今までの関係を保ちたいなら告白しない、今の関係から一歩前に進みたいなら告白する。この二択」

「俺……どうすりゃいいんだよ…」

「渡。確かに誰かに思いを伝えるのは恐いよね?でもこれだけは言えるんだよ?」

紫音は柄にもなく優しい声で言った。

「告白されて嫌な気分になる女の子なんて絶対にいないよ」
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