From..
「ったく…何だよあいつは…!」

渡との話が終わった雅也が言葉を荒げて俺に愚痴を零して来た。

「雅也は何て言われたんだよ?」

「何が『告白の言葉考えてくれ』だよ…。そんなの自分でやんなきゃ意味がないっての…」

雅也の意見に俺は激しく頷いた。

「でもよ、渡が美紀に告白かぁ……。あの臆病な女好き渡がねぇ…」

「あぁ。昨日紫音に励まされたんだよ」

「何でそこに紫音が絡んで来るんだよ?」

そこで俺は昨日の出来事を雅也に話した。

「なるほどねぇ……。紫音も昔と変わらずお節介な奴だな」

雅也はやれやれと言わんばかりにため息をつく。

その時、教室の扉が開き美紀が入って来た。

「おはようございます。翔さん、雅也さん。何の話してたんですか?」

「あぁおはよ美紀。いやちょっとな……」

まさか渡が美紀に告白するなんて口が裂けても言えない。

俺と雅也は顔を見合わせて思わず笑った。
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