From..
言ってしまった。
好き…と。

屋上には静寂な空気が漂う。美紀ちゃんは一言も言葉を発さない。

「俺は…臆病で自分一人じゃあんまり行動できないけど…必ず君を幸せにしたい…だからさ」

俺は、勢いで次の言葉をつなげた。

「付き合って欲しい」

美紀ちゃんはしばらく黙っていたが、ようやく口を開いた。

「渡さん一人じゃあまり行動できないんでしょ」

美紀はクスクス笑う。

「だから…私があなたを全力で支えます」

美紀ちゃんは顔が真っ赤だった。

いや…きっと俺も顔が真っ赤に違いない。

「よろしく…美紀」

「はい…。よろしくお願いします。渡さん…」

そこで俺らは初めて唇を交わした。もう夏を匂わせる風が優しく俺らを包んでいた。
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