From..
「おい雅也、どうするんだよ?出るに出れない雰囲気になっちゃったじゃねぇかよ……」

「元はと言えばお前が悪いんだろ!」

そう。俺と雅也は屋上の物影に隠れて、こっそり告白のシーンを見ていたのだ。

それが…。目の前で二人にキスを交わされてしまって何か恥ずかしい気分になってしまった。

「でも両想いだったか…まあ、めでたしめでたしだな…」

俺はその雅也の言葉に大きく頷く。

「めでたしめでたし……じゃねぇよ!お前ら何してんだよ!」

突然の声に俺と雅也は跳び上がった。声の主は渡だ。顔を見てないが恐らく怒っているだろう。

「いや。渡が心配で…ちょっと様子を見に…」

「余計なお世話だよ…。で、どこまで見てた?」

「初めから…最後まで」

「いやーイチャイチャしてましたなぁ」

雅也がそう言うと、美紀と渡の顔は一気に赤くなった。

「お……お前らー!!」

「ば…やめろよ渡!」

俺達は渡に追い回されていたが…渡と美紀の顔には自然に笑顔が浮かんでいた。

…この二人なら大丈夫だろうな…。

何年経っても……。
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