From..
銀杏駅の裏側にある店を銀杏百貨店といって、佐久良高生もよくお世話になっている店である。文房具はもちろん、中には食べる場所もたくさんあるからだ。
「大きいですね!」
美紀は目線を上から下に見下ろして、はぁっと大きく息を吐く。
「美紀はこっち側にあんまり来ないんだね?」
「はい、今日翔さんが連れて来てくれなかったら絶対気付かないまま終わってました」
「どうする?中に入る?」
俺は美紀に尋ねた。あくまで今日のWデートの目的は、美紀にここの地形を教えるために企画されたのだ。美紀が入りたいと言えば入るし、嫌なら次のスポットにいく。
「ちょっと興味があり…」
「こんなとこ見てもつまんないよ。ゲーセン行こうぜゲーセン!ね、美紀ちゃん?」
「え……あ、はい」
美紀が遠慮がちに頷く。俺は渡の耳をつねる。
「あのな、美紀が行きたい所に行くってのが今日の目的だろ?」
「だって、つまんねーじゃん。あんな所見たって……」
いちよう、俺は小声で渡に忠告したのだが、渡はこうなると自分勝手だ。
「し…翔君」
百合菜ちゃんが俺の服の裾を掴んでくる。普段なら嬉しいが、今は逆に恐ろしかった。美紀が、わなわなと震えていたからだ。
「もう、いいです!!だったら私は翔さんと二人で回りますから!!翔さん、行きましょ!」
そう怒鳴った後、美紀は始業式と同じように俺を引きずっていった。
「美紀、翔君!待って!」
百合菜ちゃんの制止の言葉も美紀には届いていなかった。無論、引きずられている俺は何も出来なかった。
美紀と俺は、そのまま銀杏百貨店の中に入っていってしまった。
「大きいですね!」
美紀は目線を上から下に見下ろして、はぁっと大きく息を吐く。
「美紀はこっち側にあんまり来ないんだね?」
「はい、今日翔さんが連れて来てくれなかったら絶対気付かないまま終わってました」
「どうする?中に入る?」
俺は美紀に尋ねた。あくまで今日のWデートの目的は、美紀にここの地形を教えるために企画されたのだ。美紀が入りたいと言えば入るし、嫌なら次のスポットにいく。
「ちょっと興味があり…」
「こんなとこ見てもつまんないよ。ゲーセン行こうぜゲーセン!ね、美紀ちゃん?」
「え……あ、はい」
美紀が遠慮がちに頷く。俺は渡の耳をつねる。
「あのな、美紀が行きたい所に行くってのが今日の目的だろ?」
「だって、つまんねーじゃん。あんな所見たって……」
いちよう、俺は小声で渡に忠告したのだが、渡はこうなると自分勝手だ。
「し…翔君」
百合菜ちゃんが俺の服の裾を掴んでくる。普段なら嬉しいが、今は逆に恐ろしかった。美紀が、わなわなと震えていたからだ。
「もう、いいです!!だったら私は翔さんと二人で回りますから!!翔さん、行きましょ!」
そう怒鳴った後、美紀は始業式と同じように俺を引きずっていった。
「美紀、翔君!待って!」
百合菜ちゃんの制止の言葉も美紀には届いていなかった。無論、引きずられている俺は何も出来なかった。
美紀と俺は、そのまま銀杏百貨店の中に入っていってしまった。