From..
その時不意にポケットの携帯が震え出した。ディスプレイを見ると、椎名雅也という文字が浮かび上がっていた。

「もしもし?」

「俺だよ分かるか?」

電話から聞こえてくるこの声は幼なじみで同じクラスの椎名 雅也。
雅也は頭も良くて運動神経バツグンのクラスの人気者だ。

「分かるよ雅也だろ。んで何の用だよ?」

「何だっけ…」

「俺に聞くなよ…」

ただ雅也はどこか抜けてる奴だ。頭がいい…って言うよりは頭の回転が速いと言った方が正しいかもしれない。

「思い出した!!明日の始業式って何か持ってく物あったっけ?」

「特にないと思うよ」

「分かったありがと」

ふと、俺はさっき拾ったラブレターのことを思い出した。ここは、頭の回転の早い雅也に話してみるのも一つの手だろう。

「ところで今空から俺宛てのラブレターが落ちて来たんだけど」

「…漫画の読みすぎ。そんなことあるわけないだろーが」

案の定、笑い飛ばされてしまった。

「いやホント…」

「また明日お前の妄想話は聞いてやるから」

「ちょっ待てよ…」

ツーツー…。
繋がらなくなった電話を切り、俺はため息をついた。まぁ誰も信じる訳無いか。俺でさえ信じられない出来事だもんな。

俺は携帯をしまい、家路へと急いだ。
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