From..
パタンと扉を閉める。

「ふぅ……」

俺と百合菜ちゃんのため息が重なった。俺と百合菜ちゃんは思わず笑う。

「あの二人ったら、見せ付けてくれちゃうよね」

「確かに、これじゃいつまで待てばいいんだか……」

渡と美紀がいなきゃ、Wデートは成立しないからな。俺としては、早く帰って来て欲しい。

「待つって……?」

百合菜ちゃんが首を傾げる。

「だって、渡と美紀がいなきゃ進まないじゃん?」

「私達も二人で回る……とかはダメなのかな?」

「……え?」

それって……。もうWデートじゃなくて、俺と百合菜ちゃんの初デートじゃ……。

「あ、あのね。そんな深い意味はないんだよ?ただ、美紀達の邪魔しちゃ悪いかなーって……」

浮かれた気分は一瞬にして沈む。深い意味はないって……俺は脈無しってことじゃんか……。

「翔君、だから行こうよ?」

「……そうだね。行こうか」

何はともあれ、百合菜ちゃんとの初デートなんだ。これで百合菜ちゃんを振り向かせればいいんだ!

俺は前向きに考えることにした。じゃないと、気が持たないというのが本音だ。
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