From..
雛菊駅に着くなり、百合菜ちゃんは俺の手を引っ張って、ペットショップに直行した。

「百合菜ちゃん……」

「翔君は黙ってて!」

あの、泣いてもいいですか?俺は物凄く悲しい気分になった。

走ること……5分。ついに百合菜ちゃんが行きたがっていたペットショップに到着した。

「翔君は入ってこないで?絶対だよ?」

そして踵を返して百合菜ちゃんはペットショップへと入っていく。

俺は愕然とした。俺はそんなに百合菜ちゃんに嫌われてのか……。こりゃ、百合菜ちゃんからラブレター何て夢のまた夢の話だったな……。

俺は店の前で、じっと百合菜ちゃんが帰ってくるのを待っていた。

今頃、渡は美紀と楽しいデートしてるんだろうな……。こりゃ、明日学校で文句言うしかないな。

……俺、何で今日ここにいるんだろう? 百合菜ちゃんに嫌われている以上、いる意味なんてないんじゃないか……。

俺は空を見上げた。空にさっきまで輝いていた太陽の姿はなく、どんよりとした雲が空を覆っていた。
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