From..
百合菜ちゃんは、10分くらいしてから暗い顔をしてペットショップから出て来た。

「ゆ、百合菜ちゃん。大丈夫?」

「……うん」

一体、どうしたんだろう?好きな人がこうも落ち込んだ状態だと、少し気になってしまう。

「……百合菜ちゃん。俺に何か話せない?」

「……ごめん」

ズキッと俺の心が痛んだ。頼りにされてない。男にとって、これほど悲しいことはない。

「ねぇ、翔君。覚えてる?私が二週間前に言ったこと……」

「ラブ……がどうとか?」

俺がそう言うと、百合菜ちゃんは小さく頷いた。

「あれね……忘れて?」

「え……?」

「何でもないの。だから、忘れてほしいな」

もう、限界だった。俺の中で何かが切れてしまった。

「……百合菜ちゃん。今日は、もう帰るよ、俺」

「え……?」

「馬鹿みたいだよ。俺、何だかんだで今日のデート楽しみにしてたのに……」

紫音に手伝ってもらったのに、何一つ結果を残せない。だけど、しょうがないんだ。

「し、翔君……。私だって」

「聞きたくないよ……。もう何も聞きたくねぇよ!」

俺はその場から走り出した。ホント、馬鹿みたいだ、俺……。一人で舞い上がって……。

俺、超格好悪い……。

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