From..
「そろそろ、帰ろうか。もう時間も遅いからさ。送ってくよ?」

「え、いいの……?」

「第三ヶ条、女性は男性が送り届けるべし!」

今日を振り返ると、紫音から賜った三ヶ条はとても役にたった。

「じゃあお言葉に甘えちゃいまーす」

クスリと百合菜ちゃんは笑って、俺の横にピッタリとくっついて来た。

「何か、今初めてデートらしいことしたよね?」

「そ、そうだね……」

俺は百合菜ちゃんにドキドキしてるのがばれないかどうか心配だった。

「髪切ったの気付いてくれの、嬉しかったよ?」

「そりゃ、気付くよ。いつも見て……ゴホゴホ」

俺は慌てて咳ばらいをしてごまかした。いつも見てるとか言ったら引かれそうだ。

「……変な翔君」

その後も、他愛もない話をしながら百合菜ちゃんの家へと向かっていた。二人きりで話すってのは初めてなので緊張したけど、凄く楽しかった。

初めて、時間が止まればいいって思った。
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