From..
「じゃあ、ここで……」

「百合菜ちゃん、ちょっと待って!」

俺はポケットからプレゼントを出す。百合菜ちゃんの為に買ったものだ。

「これ、あげる」

「……え、私に?何で?」

「何でって……何でだろう?あ、デートだからかな」

俺がそう言うと、百合菜ちゃんは笑いながら受け取ってくれた。

「開けてもいい?」

「どうぞ」

女の子がプレゼントを開けてるときが一番緊張する時間と言っても過言ではないんじゃないか。

「香水……?」

「うん、その香りが百合菜ちゃんっぽくてさ」

「……ホントだ!」

俺が買った香水。香りは“Lily”。百合だった。

「翔君って、洒落たことするんだね!すっごく嬉しいよ!だけどごめん……私プレゼント何て用意してないよ……」

「俺がしたいからしたまでだから、気にしないで?」

それに……、百合菜ちゃんが笑ってくれればそれが最高のプレゼントだ。

「いつか何かあげるからね!今日はありがとう。じゃあね?」

百合菜ちゃんは家のドアを開ける。だけど、ふと思い出したようにこっちを見た。何故か顔は赤く染まっていた。

「あのね、今日……Wデートの相手は翔君がいいって言ったの、私だよ?」

「え……?」

俺が詳しく聞こうとした時、百合菜ちゃんは自分の家の中に引っ込んでしまった。

「……最後にいいプレゼント貰ったな」

どうなるかと思ったWデート。だけど、結果的には凄く楽しかったな。

「……好きだよ」

届くはずのない、想いを俺は口にした後、俺は百合菜ちゃんの家を後にした。
< 48 / 387 >

この作品をシェア

pagetop