From..

ずいぶん飛ばしたからか あっという間に俺達の教室に着いた。

教室に入る前にドアの前からこっそり百合菜ちゃんの様子を盗み見た。

百合菜ちゃんは机に突っ伏してた。

俺は意を決し百合菜ちゃんの机へと向かった。

トントン。俺は百合菜ちゃんの机を叩く。

「翔…君？」

顔を上げた百合菜ちゃんの目は真っ赤だった。

「おはよ」

「今更何の用……」

そう言うと百合菜ちゃんはそっぽを向いてしまった。

「ゆ、ゆり……」

何を躊躇っているんだ！
若葉 翔！！

『そんなんじゃいつまでたっても前に進まない』

『行動しなくては何も変わらないままですよ』

『好きな人には全力でぶつかっていく』

それぞれ雅也・美紀・桜花から受け取った言葉だった。

「百合菜！！ごめん！」

ついに俺は「百合菜」と呼び捨て出来た。

「…ばかぁ。翔君のばかぁ！」

そう言うと百合菜はまた泣き出してしまった。

オロオロとうろたえている俺を見て美紀と静香はニヤニヤして見ていた。