R男子★
 7:30





 20冊運べるようになったから、いつもよりも10分早く終わったこの仕事。





 卓也は、あたしの存在に気付いてる。




 気付いてて、気付かないフリをしてる。




 何でもいいから、声を掛けてほしい。




 下を向いて、図書室から出ようとした。





 「花巻さん、」




 ドアに手をかけたと同時に聞こえた懐かしい呼び方。




 ”花巻さん”って、まるであたしを切り離すみたいな言い方しないで。
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