僕から、キミへ
病弱少年
「ゲホゲホッ ゴホッ」
真っ白な病室で独り、小説を読んでいると。
作者の作りだす架空の世界に浸る僕を邪魔するかのように、
胸が苦しくなって、
込み上げるような咳と吐き気が襲って来た。
…あぁ、またいつものだ。
慣れたことで、僕はナースコールを押した。
「どうしました?」
看護師さんの声が聞こえるけど、
咳が続いて苦しくて、
言葉をしゃべることもままならない。
何も言えないで、咳を続けていると、さすが看護師さん、わかったみたいで。
「すぐに向かいますね」
「お…ゲホッ願い…します…ゲホゲホッ」
意識が飛びそうになるのを必死にこらえ、
僕は大きな“何か”で今にも塞がれてしまいそうな喉を押さえ、
止まらない苦しみに耐えた。
すぐに担当医が姿を見せ、僕はそこで、意識を飛ばした。
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