僕から、キミへ
病弱少年












「ゲホゲホッ ゴホッ」





真っ白な病室で独り、小説を読んでいると。
 

作者の作りだす架空の世界に浸る僕を邪魔するかのように、
胸が苦しくなって、
込み上げるような咳と吐き気が襲って来た。




…あぁ、またいつものだ。
慣れたことで、僕はナースコールを押した。





「どうしました?」





看護師さんの声が聞こえるけど、
咳が続いて苦しくて、
言葉をしゃべることもままならない。



何も言えないで、咳を続けていると、さすが看護師さん、わかったみたいで。







「すぐに向かいますね」

「お…ゲホッ願い…します…ゲホゲホッ」


 



意識が飛びそうになるのを必死にこらえ、
僕は大きな“何か”で今にも塞がれてしまいそうな喉を押さえ、
止まらない苦しみに耐えた。



すぐに担当医が姿を見せ、僕はそこで、意識を飛ばした。







< 1 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop