僕から、キミへ












いつも、興味深そうに、あたしの話を聞いていた。
 



話すのが下手なあたしは、どんどん長くなってしまう。
 
それで何度も、あたしは友達に「話が長い」と呆れられ、途中で逃げられてしまっていた。

 


そんなあたしは、最近話すのを止めて、聞き手に回っていた。
 
その立ち回りはあたしに似合わないみたいで、最近学校へ行くのが憂鬱だった。
 
行きたくないな、と思いながら登校している中、あたしは居眠り運転をしていた車に衝突された。
 
スピードは出していなかったみたいで、骨折だけで済んだけど。
 
生きているって知った時、正直何で死んでないんだろって思えた。

 



幼い頃から、話すのが大好きだったあたしは、話せない立ち回りが嫌だった。
 
話せないあたしなんて、死んでしまえば良かったのに。


 


だけどカイくんは、あたしの下手な喋りに文句1つ言わず、
いつもキラキラした好奇心旺盛な瞳で聞いてくれた。
 
初めての経験で、話すのが久しぶりで嬉しかったあたしは、
調子に乗っていっぱいいっぱい喋った。
 
カイくんは文句は言わないで、ただただあたしの話を聞いてくれた。




『ハルナさんは、話題が多くて、聞いていて飽きないよ』


 
カイくんのその言葉に、あたしは思わず泣きそうになった。
 
「何を言うのよ」ってごまかしたけど。
 
頑張って、あたしは涙をこらえた。








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