僕から、キミへ
この高校を選んだのは、家から近かったのと、ハルナさんが通っている学校だから。
だから通ったことなくても、この先生がどのような性格とか、校内の地図は頭に入っている。
だけど実際に通うのは初めてだから、緊張はしている。
ハルナさんは、通っている高校名は教えてくれたけど、教室までは教えてくれなかった。
今年、第2学年は5クラスある。
どこかにハルナさんがいるんだろうけど…一体どこのクラスなのかわからない。
まぁ、校内を歩いていればいずれ会えるだろう。
今の僕は、今までの僕とは違う。
激しい運動はまだ禁止されているけど、じきに出来るようになるだろうって言われた。
毎月1回の診察と、毎日3回飲む薬は、死ぬまで消えることはないけど。
言われた条件は、それだけ。
あとは普通に過ごして良いって言われた。
「入っておいでって言ったら、入ってきて」
「わかりました…」
担任が中に入って行く。
ザワザワと廊下まで聞こえていた歓声が、一気に静かになる。
僕は誰も通らない廊下で、何度も深呼吸を繰り返した。
その度に、まだ着慣れていない制服を見降ろす。