僕から、キミへ
「…今村、魁…です。よろしくお願いします」
何をすれば良いかわからなくて頭を下げると、まばらな拍手が聞こえた。
頭を上げ、初めてクラスメイトになる人たちを見渡した。
「…………っ!」
そして、窓際の1番後ろの席に座る女子生徒を見て、僕は固まった。
先生が何か言っているけど、耳にはいってこない。
「カイ…くん……」
女子生徒―――ハルナさんが、呟いた。
嬉しそうに瞬いていた瞳が、大きく見開かれ、涙が溜まっていく。
「……ハルナ、さん」
僕がぎこちなく呼ぶと、ハルナさんはガタッと立ちあがり、
一目散に僕の元へ来て、苦しいほど抱きしめてきた。
あちこちから、黄色い歓声が上がる。
「カイくん!カイくん!待ってたよ―――!」
「ハルナさん…!
待っていてくれて、ありがとう……」
今、僕は。
―――幸せ、です。