僕から、キミへ
カイの存在
☆ハルナside☆
あたしは背を向けて眠るカイくんのお言葉に甘えて、小説の続きが知りたくて、
カイくんのベッドの隣にある収納棚へ向かった。
「借りるね、カイくん」
聞こえているわけがないのに、あたしは独り言ち、収納棚から続きを探す。
多く並んだ小説や漫画の量に、圧倒されていると。
「…ゲホゲホッ」
「……カイくん?」
くぐもった咳が聞こえ、あたしは読み終えた小説を仕舞って立ちあがった。
「ゲホゲホッ…ゴホゴホッ…ゲホッ」
「カイくん?大丈夫?」
あたしの問いかけに答えず、苦しそうに咳と荒い呼吸を繰り返すカイくん。
「カイくん!カイくん!!」
さっき戻ってきたカイくんは、一時退院が出来るかもって喜んでいたのに。
あのカイくんの喜びを、消してしまわないで。
あたしは急いで、ナースコールで看護師さんを呼んだ。