僕から、キミへ
看護師さんとカイくんの担当医さんが病室に集まり、あたしは医療ドラマでしか見たことがない光景を目にした。
苦しそうに何度も咳を繰り返すカイくん。
素早く看護師さんに指示する担当医さん。
担当医さんの指示に従い、点滴や酸素マスクの準備をする看護師さん。
あたしはただ、見ているだけしか出来なかった。
「ICUの準備は出来ているか?」
「出来てます!」
「じゃあ連れて行くぞ」
ストレッチャーに乗せられたカイくんは、幾度も繰り返していた咳も荒い呼吸も何もしていなかった。
どうやら、意識を飛ばしてしまったみたいだった。
カイくんが運ばれ、病室にはあたし独りだけが残された。
カイくんと同室になって、数週間経つけど。
カイくんが発作を起こしている所を見たのは、初めてだった。