告白よりも、ときめきを

本当に色々注文して…。これは…し過ぎだ。

お皿でテーブルが一杯になった。

「さあ!明璃さん、食べますよぉ。のんびり食べてると、すぐ満腹になってしまいます」

おしぼりで手を拭き掌を擦り合わせた。

「うん…はい、では頂きます」

注文した手前、残すなんて良くない。

「頂きます」

「まずは、蟹炒飯から…。…うん…美味しい…」

「はい、美味しいですね」

「うん」

春巻き、エビチリ…小籠包…回鍋肉…。杏仁豆腐で…おしまい。

「…ふぅ、御馳走様でした…」

「満足しましたか?」

「大満足よ」

「美味しそうに食べますね。いい食べっぷりでした」

「…」

私ったら…、残しちゃいけないっていうのもあったけど、この男前の前で、うっかりいつもと変わらず食べてしまった。恥ずかしいかも…。

「褒め言葉ですよ?少食で、直ぐお腹一杯って言われるより、ずっといいです」

「…何だか、思うところはあるけど…有り難う」

「本当ですよ?健康的でいいじゃないですか。では、ぼちぼち帰りましょうか。送ります」

「あ、私なら大丈夫よ?まだ全然遅い時間じゃないし。電車もある時間だし」

「いいえ、送ります。俺の事、有無を言わせず、強引に送ってくれたじゃないですか。だから俺も、俺の理由で強引に送ります」

「あれは…、片桐君が具合が悪かったからで…」

「はい。でも、タクシーに押し込んで、あとは俺一人で帰っても大丈夫だったかも知れませんよ?」

「でも、途中でどうなるか解らないし…」

「はい。明璃さんも、遅くないからと言って電車で帰ると言っても、途中で何があるか解りませんよ?でしょ?」

「…」

簡単に理詰めで負けた。
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