告白よりも、ときめきを

「じゃあここで…」

「部屋まで送ります」

「…はい」

駅に着いたところで言って見たが、無駄な抵抗だった…。
やっぱり駄目か。


…部屋の前まで辿り着いた。

「どうぞ。開けて入ってください」

「…」

鍵を取出し開けた。カ、チャ。

「じゃあ、有り難う。おやすみなさい」

中に入った。

「明璃さん」

直ぐ後ろから声が降って来た。

「えっ?は、はい?」

…何。え?ちょ、ちょっと?な、中に入ってる、じゃない?

「ベッドは?」

「へっ?」

「どっちですか?」

「ぇえっ?」

何?な、に、え?

「フ、クスクス。不謹慎ですが、明璃さんが具合悪く無いのがとても残念です」

玄関で話していた。

「え?」

「…はぁ。具合が悪いのなら、肩を貸すどころか、明璃さんを抱き上げ、ベッドに運べる。
…こうして」

「キャッ、えっ?」

あっという間に抱き上げられてしまった。

「ちょ、ちょっと片桐君?…からかうのは止めてくれる?お願い、下ろして、下ろしてください。ちょっと…ふざけないで…」

焦って敬語が混ざってしまい、落ち着いてる訳でもないのに可笑しな言葉遣いになってしまった。

「昨夜…、言葉というか、明璃さんの行動は、…はぁ、俺をからかったのですか?」

「え?どういう事?…ぁ」

ゆっくり下ろされた。はぁ…良かった。

「貴女は…、昨日、…俺が具合が悪いせいなんだけど…。
色々と…、無自覚に誘惑するような事を…。俺の額に触ったり…何度も…。…上着を脱がせたり、ネクタイ解いてボタンを外したり…。挙げ句、寝室に入ってベッドに寝かせて……ズボンのベルトまでカチャカチャ外して…。はぁ…。熱に浮かされていたとは言え…俺は…堪ったもんじゃなかった…」

ゆっくり優しく押さえるように汗も拭いてくれた。拭きながら、確認するように手が何度も触れた…。

「え、それは…、ズケズケ遠慮無くして申し訳無かったけど…、でも、それは片桐君が…」

「解ってます…」
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