告白よりも、ときめきを
・これは一体…
「放とけ無かったから看病してくれた。それだけの事ですよね」
「はい、そ、そうよ。だけど…ごめんなさい。配慮が足りなかったのよね。嫌だったよね、色々とごめんなさい」
「はぁ…違う、そうじゃない。解ってます?俺がどんだけ…ドキドキしたか…。熱とは別の話ですよ?
…俺は、…貴女が好きなんです」
「ごめんなさ…え?……ぇえっ?!」
今、なんて言ったの…。あっ。
背後は玄関の壁。体を囲むように両手をつかれてしまった。
え゙ーー。ちょ、ちょっと何?…駄目だ、逃げられない。でも…この状況…キュン死にする…。うぅ。
「…ずっと好きなんです。貴女の事が。そんな俺に、あんな事…。はぁ。
本当…、誘惑もいいとこだ…」
「いや、あの…だからそれはね」
好き?なに言ってるの。からかってるの?ついている肘が曲がり更に顔が近くなった。…ぇえ゛?
「入社した時から貴女が好きなんです。
何も解らなかった頃、先輩に指導受けて、毎日落ち込んでいました。辞めたい病になりかけたんです。
当たり前ですが、何一つ満足に出来なくて、情けなくて…。出社するのもきつくなってました。
そんな時、貴女は言ってくれたんです。貴女にしてみれば、毎年落ち込んだ新入社員に言っていた事かも知れない。でも、俺は嬉しかったんです。
『私は営業職じゃないから偉そうな事は言えない。実際の辛さを経験してないから。
でも、昨日、今日、入社した人間に何が出来るの?出来なくて当たり前。みんな最初は出来ない事だらけ。失敗だらけ。自分でも、そんな事言われなくても解ってると思ってるでしょ?
だけど、違うのよ。そんな解りきった事を誰かに言ってもらうと、楽になれるのよ。
今の内よ?失敗しても新人だから仕方ないって言ってもらえるのは。だから、沢山失敗して覚えたらいいのよ。
ごめんね、上手くも言えないし、偉そうな事言って。
事務処理で助けられる事があったらいつでも言って。出来る事は手伝うから』って」