告白よりも、ときめきを
・誤解だから
「コーヒーでも入れようか?」
「いや、いい」
ソファーに座った。
じゃあ、私もと言って座った。
「…昨日、課長に頼まれた書類を作り終わる頃、片桐君がオフィスに帰って来て、具合が悪そうだったのね、実際熱もあって。
それで、明日の資料がまだ出来てないから今から作らないとって言うの。
だから、私が代わりに作るから休んでてって、会議室で休ませて、出来たから確認して、その後、家まで送って、寝かせて帰って来たの」
「それで、それと、片桐がここに来た事と、どう繋がる?」
「さっき、送ってくれたんだけどね、御飯の後。いいって言ったんだけど」
「そこは、まあ、何となく理解するよ。だけど…部屋から出て来た。前まで来ればいいくらいの事だろ」
「私はお店を出て直ぐのところでいいって言ったんだけど、それが駄目で、更に…駅まででいいって言ったんだけど。
…昨日、私が無遠慮に片桐君の部屋に入って、ガーッと世話をして、嵐のように帰ったから、その無遠慮の仕返しみたいな?」
「仕返しみたいな?何だ、それ」
「…うん。えっと…」
「要は強引に襲われかけたって事じゃないのか?」
え?何で解るのよ。
「っ。…襲うとか、そんな恐ろしい表現はちょっと違うような…強引ではあったけど…。
私が何も考えず、ただ酷くならないようにした事が…なんて言うか…無自覚な行動だって、言われた…それで」
「…そうなるよな。何かされたのか。片桐は明璃の事が好きだから」
「えっ、なんで…」
「なんで解るかって?そんなもん、見てたら解るよ」
「片桐君も言ってた、似たような事。優は私の事、多分好きだって」
………。
「……フッ、片桐の奴、余計な事…まあ、それは今は置いといてだな。なんで熱があると解った?」
「会社に帰って来た時、汗も出てたし、力無さげに、しんどそうだったし…」