告白よりも、ときめきを
「それに、おでこが凄い熱かったから」
「熱、計ったのか?」
「正確では無いけど、手を当ててみた」
「手か……。一回?」
「二、三回かな。薬飲ませた後と、エレベーターの中…かな。あと、片桐君の部屋で。体温計でも一回ちゃんと計った」
「………はぁ」
「え、何…まずい、の?でも熱計るには…」
「…ああ、それは明璃の罪だな。片桐に取っちゃ、たまったもんじゃない。弱ってるところ、そんな事されちゃあな。で?」
「え?で?」
「正確には玄関で何かされたんだろ、さっき」
「うっ…」
「はぁ…、解りやすいな、明璃…。…キスでもされたか?」
「…うん」
「くっ、…はぁ、…ビンゴか。鎌掛けただけなのに。…全く…明璃は正直だな…」
隠せよな…。
「え、そんな…優、ずるい…」
「ずるくはない。まあ、だいたいは解ってたし。…くそ、そうか…。俺もうかうかしてられないな…」
「…優?」
「はぁ…こんなに遠慮なく長くつき合いしてるのに、未だに仲良しの同期のままなんてな…。
挙げ句、片桐に俺の分まで先に告白されちまうし。まずいよな…。高を括ってたな…。
…明璃がきっかけ作ったようなもんじゃないか。片桐の面倒なんか見るからだ…って言っても仕方ない。キスまでされて」
ブツブツ言い終わると、隣り合って座っていたからガバッといきなり抱きしめられた。
「ちょっと、優?!」
「俺が明璃を抱きしめたのは今まで酔った時だけだ。素面で抱きしめたのは今日が初めてだ。
ま、これで二回になったけど」
「え?うん、確かに」
そうだけど…。
「ある意味、大事に、真面目に想って来たんだ。…酔った時は場を盛り上げる為だったし」
「まあ、いつももそうせざるを得ない雰囲気だったから、別に気にして無いよ?セクハラだとか思わないし」
「…ああ」
畜生…、こんなタイミングで言いたく無かったけど。
「明璃。俺はこの先も、ずっと明璃と一緒に居たい。お前しか居ないと思ってる。
同期で今更なんて思わず、真面目に考えてくれないか?ずっと好きなんだ」
え?
「……優」