告白よりも、ときめきを
きっかけは山崎君のいきなりの誘いからだった。
「なあ宇佐美、今日時間あるか?」
「なに?変に改まっちゃって、相談ごと?」
「ま、あ。後で話すから。いつもの居酒屋、俺の名前で入れてあるから、奥の個室で待っててくれるか?
終わったらすぐ行くから。そんなに待たせないと思うから適当に食べててくれ」
「解った」
何だろう?もう既に予約してるなんて。行かないって言ったらどうしてたのよ。
「っらっしゃいませ〜」
「こんばんは」
「山崎さんで、予約でしたよね?」
「えっ、あ、はい、そうです。え?」
「あ、いつも皆さんで御利用頂いているので、お顔は解るんです」
「あ、それで?えーと、すみません、確か…奥の個室って言ってたから…こっち?こっち?」
「左側をお取りしてます。…どうぞ」
「有難うございます」
顔を覚えてるなんて。まだ何も言わない内から解るなんて、流石、客商売だ。
「先にお飲み物、お持ちしましょうか?」
おしぼりとお冷やを置きながら聞かれた。ん~。どうしようかな。話の内容がまだ解らないから。
「ごめんなさい、取り敢えず、烏龍茶と、あとは…、焼きおにぎりのセットをお願いします」
「わっかりました、少々お待ちください。直ぐ持って来ますから」
あ、そんなに…。お腹空いてる顔に見えたのかな。無意識に両手で頬を挟んでいた。
「失礼しま~す。烏龍茶と焼きおにぎりのセット…と、これ、おまけっす」
「えっ、すいません、有難うございます…。あの、これ、いいんですか?」
「はい‼枝豆と海老入りの厚焼き玉子、お好きでしたよね。サービスっす、どうぞ」
「おいおい、見逃せないな~、特別扱いか~?」
「あ゙っ!いらっしゃいませ、ど、どうぞ」