告白よりも、ときめきを

山崎君が来た。

「悪い、待たせたか？」

「ううん、さっき来たばっかりだし」

「じゃあ良かった。俺、外から直帰で。割と早く終われたんだ。
さっきの何？」

「あ、うん。よく解らないけど、おまけでこれ貰っちゃった」

「へぇ。これ、宇佐美の好きなやつじゃん。
宇佐美〜、やるな〜。あのお兄ちゃん、宇佐美に気があるって事だな。間違いない、決定だ！」

「いや、違うよ。私達は結構な常連だからだよ。
ここ来た時も、予約の名前言う前に、顔解るって言われたし」

「ほらほら、だから、気があるって」

「そんな事無いよ。向こうだって仕事上の事だよ。
それより、今日は何？」

「あー、ちょっと待って。俺、注文する。
あ、お願いしま〜す。
えっと、刺身盛り合わせと揚げ出し豆腐、大根サラダと、単品で焼きおにぎり、取り敢えず以上で。 おっと、あと、ビールお願いします」

「かしこまりました」

「違うお兄ちゃんが来たな」

おしぼりで手を拭きながら、厚焼き玉子を一つ摘まれた。

「おっ、旨いな、これ」

「でしょ？」


注文した物は全部揃った。

「実は相談なんだ」

「いきなり本題？」

「ああ。宇佐美が恋愛に興味無いのは薄々知ってる」

「ちょっと。興味が無い訳じゃないからね」

「そうなのか？」

「う～～ん。どう言えばいいかな。…人は好きになるのよ。
待って…。それも厳密にはちょっと違うかな」