告白よりも、ときめきを

「宇佐美~、終わったか?俺、終わったぞー」

鞄を手にデスクに来た。

「うん、ちょっと待って、今、シャットダウンしてるところ。…いいよ、OK」

「じゃあ、行くか」

「うん」

……え?!一輝が私の手を引いた。

「ちょ…かず、岡崎君」

な、に。これ。

「お先っすぅ」

「お、おお、お疲れ」

「(キャァ)お疲れ様でした」「えっ?!(キャァ)」

みんなの目が、繋がれた手を見てるのは一目瞭然。女子社員は悲鳴を飲み込むようにして口を手で押さえてこっちを見ていた。……何、これ。

「…お先に失礼します。お疲れ様でした…」

…ちょっと一輝。これってまずくない?


エレベーターのボタンを押して待っていた。待ってる間も当然のように繋がれていた。

「か…、山崎君?」

「何?おっ、来た。何?」

箱に入りながら続けた。

「一輝、急にどうしたの?これ」

繋いだ手を軽く持ち上げて見せた。

「ん?んんー。俺なりの…アピール?」

「はぁあ?」

アピール?…アピール…何アピール?

「…まあ、いいからいいから。明璃は気にするな。お、着いたぞ」

はぁあってな…、何気にそれ、傷つくだろ…。

「え、うん。このまま歩くの?」

「……」

「ねえ、一輝…」

「…ああ、このままだ。…今日はいつもの居酒屋には行かない。
明璃は好き嫌い無かったよな?」

「うん。食べるの好きだからね?」

「ああ、知ってる。よく知ってる…」

居酒屋でいいんじゃない?…何か変よね。
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