告白よりも、ときめきを
「本当なのか。その…、キスされたって言ったけど」
「うん。そこまでに至った事、始めから話すとね、残業してる時、片桐君が帰って来て、具合悪いのに書類作らなくちゃいけないって言うから、私が代わりに作って、あ、片桐君はその間、会議室で薬飲んで寝ててもらってたのね。それで、出来た書類を確認して貰って大丈夫だったから、…それから家に送って行って、寝かせて帰って来た、って感じだったと思う」
その時されたのか…会社でか、片桐の部屋でか。
「具合悪いって、なんで解った?」
優と同じような事聞くのね。
「汗も出てたし、熱も、かなりあったと思う、熱かったから」
熱かった?………唇がか。…ぁあ?違う、それは、ん?
「計ったのか?」
……。
何だよ、今更沈黙って。計る為にキスになったのか?偶然当たったのか?だから淡々と言えたのか。…あっ、そうか、事故だったのか。
「…手をおでこに当ててだけど」
手?…手だったのか。まあ、それが普通だな。
「そ、そうか。何故、その…キスに発展したんだ?」
俺、そればっかり気にしてるな。熱とは別でって、なるよな…。ガバッと襲われたのか…きっとそうだ。病人だと油断してたんじゃないのか。
「襲わ…」
「キスはその日じゃないのよ」
「れたんじゃ、…あ?」
「片桐君が、ずっと好きだったって、入社してから。そんな俺に…おでこ触ったり、服のボタン外したり、誘惑してるようなものだって。書類のお礼だって、次の日御飯に行って、帰り送るって言われて…このくらいは許してくださいって……された」
なっ!!…片桐の奴ー…。
「…明璃。なんでだ?」
「え」
「なんで、そんな隙を作ってる?…片桐が好きなのか?それなら別に…ただの惚気話とも取れるけど」
どうなんだ。首を振っている。
「私だってびっくりしたんだよ。好きだとは…そんな風には思って無い、そんなのは思ってなかった」