告白よりも、ときめきを

「思って無かったって言ったけど、だけど、それから映画とか、飯とかした訳だろ?」

好きになったのか、…なりかけてるのか。だから、今までそんな事なかったのに…。

「…そうだけど」

どうなんだ、気持ちは。

「傍目には、まあ、知ってるやつは限られてるのか、今の段階では…。にしても、端から見たら、つき合ってるようにも取れる話だぞ」

「強引に連れて行かれたようなものだもの」

片桐主導だから、そうはなるだろうけど。

「…嫌なら行かない。帰ればいいだけだ。それは言い訳だ」

ちょっとは、揺れてるんじゃないのか。

「…映画、…私が観たい映画だって言うし、実際そうだったし」

「は…そんなんで、そんな理由でついて行ったって言うのか?」

「…時間も普通にあったし」

……はぁ。誤解する、片桐が。

「…そんなのは相手の思う壺だ。それに、場合によっちゃ、明璃は女から嫌われる女だぞ?…そんな行動してるんだぞ」

「…そんな。でも、解ってる…私だって」

「…はぁ、片桐の事は、お前の後輩なんか、みんな何とかものにしたいと思ってるの解ってるよな?
出来るなら、私だって御飯に誘って欲しい。映画も行けるなら行きたい、と思ってる。解ってるよな?」

「…うん」

「それを明璃は、…好きじゃないけど、って…。片桐の気持ちは知っててだ…。質が悪い。俺にはそう映るけどな……悪い、言い過ぎたか?」

「ううん、大丈夫。自分でも、酷いと思ってる。狡いと思ってるから。…いいとこ取りだって」

「ああ、そうだな」

…じゃあ…好きじゃないんだな?…。映画、観たいからだったって事だな?

「…うん。ごめんね一輝。言いにくい事言わせて。…有り難う」

「いや、俺は別に…。畳み掛けるようにきつく言って悪かったな…」

まだ竹内の事は聞いて無い。もう、今日は聞かない方がいいのか…。

「なあ、スイーツ、取りに行くか」

「…うん」
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