告白よりも、ときめきを

流石だな。やっぱり気がつくよな、普通。片桐にしても山崎にしても。解りやすい。

「後輩と言えども、うかうかしてられなくなった。お前、平気か?」

「は?」

「何だよ。惚けんな。お前もだろ?宇佐美の事…」

何だ、こいつ…。

「フ。だから、十人並なのは顔だけ。男心は解るって言ってるだろ?おんなじ男なんだから。
それとも、俺の勘違いかな~?」

探るように顔を覗き込んで来た。
……恐るべき奥田の男心。

「まあいいさ。俺らはさ、あ、田島、嶋崎含め三人な。
他の男性社員より同期で近い存在だけど、最初から無理だと思ってるから…過度な期待はしてないのよ。あいつらが居た時からね、えっと、麻紀と美咲ね。
ま、あの二人は特に入社当時から、いかにも“いい男目当て"みたいなとこあったし。
俺らは、何でも話せて楽しい仲間だよ。仲間止まり。今までだって、これからだってな。
…でもさ、あいつの…宇佐美の気持ちは何処にあるのか知らないけど、お前と山崎は、やっぱ違うんだよ。別格?
俺らにはそう映るけどな」

「…」

「ま、金曜の夜、同期会じゃん。気持ちがごちゃごちゃしてるなりに、何か話せる事もあるかも知れないじゃん。
あいつら、麻紀も美咲も来れるみたいだし。少しは宇佐美も、愛とか恋とか、感化されるかもよ?」
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