告白よりも、ときめきを

「…明璃?…どうした急に。今のは…俺に言ってるのか?…おい。そうなのか?」

「優、ギュッて」

「え」

「…ギューッて、してみて…」

「あ…………こう、か?」

抱き着いている明璃の腕から腕を抜き、言われるがままギュッと抱きしめた。

「…うん。優…。…はぁ……ドキドキする…ドキドキしてる…」

「…明璃」

何だか半信半疑だ。これは、一体、どうなってる。

「…ドキドキする。苦しいくらい…ドキドキしてる。……優」

…明璃。…はぁ。

「明璃。こんなの、俺もハンパなくドキドキする。それに周りの目が…。さっきから恥ずかしいんだけど…」

「あ、ごめん。優、…私、いきなりこんなところでごめん」

離れようとした。

「…離れるなよ。…恥ずかしくてもいいから。まだ冷静にならなくていいから」

「…え、あ。…うん…」

優…。ドキドキする事、言って、ドキドキしてる。
ゆっくり離された。

「…明璃?帰ろう。送るよ。ていうか、もうここから早く消えたい…。
いいか、行くぞ!」

明璃の手を引いて走った。

「あ、優。待って…」

「明璃。本当にいいのか?恋愛、始めても。よく知ってる俺だからって…この先、何があるか解らないし、怖いぞ?それが恋愛だ。いいのか?」

「わ、解らない。解らないけど…、は、始めてみたい。そう思ったから。そ、それに…ハァ、大丈夫でしょ?」

「大丈夫?何が?」

「もう、ハァ、とっくに、ハァ、プ、プロポーズもされてるし」

優の足が突然止まった。

「え、わ」

「明璃…」

「ハァ、な、な、な、に?……ハァハァ…ハァ…」

ん、んん、ふっ…ん゙。
顔を包まれ、いきなりだった。唇を塞がれた。
ハァ、く、苦しい…息…。上手く、継げない…。ん゙。ん゙。苦しい。胸をバンバン叩いた。

「く、苦しい…、ハァ、し、死んだらどうするのよ。そ、それに、こんなところで…」

「…冷静だな明璃。結婚してくれ。仕切り直しだ。この前のを改めさせてくれ。
好きだ、明璃。ずっと一緒に居よう」

キャ、うっ。ん゙、ん。抱きしめられた。また情熱的な口づけに見舞われた。
優…凄く心臓がバクバクして爆発しそうな程ドキドキしてる…。

「ヒューーッ!熱いね、お二人さん」

通行人が冷やかして通りすがった。

……はっ!

「…明璃、帰るぞ」

「…うん」

私達は手を繋いでまた駆け出した。
さっきより、離れないようにしっかり指を組んで繋いだ。


−完−
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