告白よりも、ときめきを
「ハァ…明璃さん、すいません…」
上半身を起こして受け取った片桐君は、パリパリとドリンク剤を開け、解熱剤を口に含むと一気に飲み干した。
空になった瓶を受け取った。
「…ハァ、…有難う、ございます」
…息がさっきよりも荒くなってる。苦しそうね。
「片桐君、荷物見るけど、ごめんね」
「え?ハァ、明璃、さ、ん?」
少しでも早くした方がいい。
デスクに戻り、片桐君の荷物の中から書類を探し出す。勝手に鞄の中、見られるのって嫌よね、ごめんね、今日だけだから許してね。
資料に必要なモノを確認する為、それらを持って会議室に戻った。
「ねえ片桐君、教えて?ざっと見たんだけど、ここと、ここ、それから…この部分の資料、揃えたらいい?」
「ええと…ふぅ。はい、そうです。間違いありません」
私は頷いた。
「じゃあ、今から揃えて作るから、片桐君はここで休んでて。一時間、…もう少し掛かるかも知れない。ごめんね?間違いがあっては二度手間になるし、慣れてない物は、慎重にしないといけないから。
後、送って行くから、辛いだろうけど今は休んでて。ごめん、それから、資料、確認して欲しいから、出来たら起こすからね?」
「いや、でも…」
「自分でやらないと気が済まないんでしょ?だけど今は無理でしょ?」
「いや…俺がしますから…」
片桐君の側で仁王立ちしていた。これ以上有無は言わせないわよ。
「人に任せるのは不安だっていうのはよ〜く解ってるから。でも仕方ないでしょ?明日、必要なんだから。私が作ったものを確認してくれれば済むでしょ?駄目なら何度でも、希望通りに作り直すから」
「ハァ…はい…ハァ、すいません、お願いします…」
諦めてくれたようね。ちょっと怖かったかしら。
「解りました。では任させてもらいます。あと、ちょっとごめんね」
片桐君の上着を脱がせ、寝かせると、ネクタイを解き、迷う事なくシャツのボタンを上から三つ外した。
「...あ、え?...ぁ」
持って来た大きめの膝掛けを広げて、包むように掛けた。
「じゃあ、作ってくるね。大人しく横になってるのよ?いいわね」
会議室を後にした。
「あ。明かりは消しとくからね」
出口で振り向いて声を掛けた。
「明璃さん…ハァ」